『永遠の0』part2 (約1150字)

メディア化作品(映画) 永遠の0

作者:百田 尚樹
ツイッター:[https://twitter.com/hyakutanaoki?lang=ja]
出版:
講談社

 「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男はなぜ自ら命を落としたのか。終戦から60年目の夏。健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、一つの謎が浮かんでくる-。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とはこの内容紹介に興味を持ち、僕は「永遠の0」という本を手に取りました。
「永遠の0」という本は、人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子が、太平洋戦争で特攻に志願し戦死した祖父・宮部久蔵について調べ始めることから物語が始まります。物語が進むにつれて元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵という人物は、戦闘機乗りとして凄腕を持ちながら、異常なまでに死を恐れ、生に執着する男でした。僕は妻を愛し、「生きて帰る」という約束にこだわり続けた宮部がなぜ特攻に志願したのかとても不思議に思いました。
しかし、物語を読み進めていくと宮部が特攻に志願した理由がなんとなく理解できました。宮部久蔵という人物は、何よりも命を大切にする人物でした。それは、戦闘機乗りの時に部下に言った「どんなに苦しくても生き延びる努力をしろ」という言葉や、特攻隊員の教官の時に教え子が上達していくことを辛そうにしていたことからよく分かりました。
しかし、宮部は飛 行機乗りとして、教官として多くの部下や教え子を死地へ送らなければなりません。宮部が何よりも命 を大切にする人物だからこそ、自分の存在に悩み苦しんだのだと思います。特攻隊に志願したのは、悩み苦しんだはてに自分の死をもって残された人達に希望を託そうとしたからなのだと思いました。この本を読んで、僕は戦争の悲惨さを再認識しました。それはこの本が戦争という時代に巻き込まれた青年達の心情を描写しているからです。
心の中で「生きたい」と思っても、それを口に出せない時代の空気。絶望的な状況で無意味と思える作戦でも、上官の命令に逆らえないために命を捨てなくてはならない軍人達。特攻隊員の自分が死ぬことへの恐怖や、家族や恋人への思い。それらの全てが生々しく描かれています。
僕は今まで志願制である特攻隊は、
愛国心に溢れ命も惜しまない軍人が行っていたのだと思っていました。しかし、実態は志願制とは名ばかりで、命令と同じようなものだったと分かったときは、とても衝撃を受けました。特攻隊ですら戦争という時代に巻き込まれ、悲しい末路を辿った人達の一部であり、その上絶対に死ぬということが決まっていた彼らは、この戦争の一番の被害者だったのではないかと思いました。
彼らのような被害者を増やさないためにも、僕達はこの世界の平和を守っていかなければならないと思いました。

 

引用元:[読書感想文入賞作品]
本の詳細:[永遠の0]

 

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