『君の膵臓をたべたい』part9 (約1950字)

君の膵臓をたべたい(双葉社)

作者:住野よる
ツイッター:[https://twitter.com/978410350831_1]
出版:双葉社

  人は死んだらどうなるのだろう、どこへ行くのだろう、そもそも死ぬとはどういうことなのだろうか。「死」について考えている時に、この本に出会いました。この本には、二十七個の質問をもとに今までの自分を変えさせてくれるような言葉や、心から共感出来るような事がたくさん書かれていました。特に印象に残っているものを挙げていくと、まず、人は常に「命がけで生きている」ということです。私はよくこの言葉を耳にしていましたが、正直しっかりとは理解をしていなかったように思います。そこで分かったことは、人はみな生まれた瞬間から必ず死ぬ存在であり、だから人は、命がけで時を過ごしていて、日々何をするのも命がけで行っているということです。今、こうして文字を書いている時も命がけで書いているのだと思うと、その意味するところのすばらしさを感じました。一分一秒は止まらず過ぎていっているので二度と過去に戻ることなど出来ないからです。今を一生懸命過ごそう、そう思うことが出来ました。次に、「普通」は当たり前の事ではないというものです。以前ある本を読んだ中で、重い病にかかっている一人の少女が言った言葉があります。それは、「普通でいい、普通がいい、普通にしてください。」という言葉です。私はその言葉が本当に心に響きました。その少女にとって、色々なことを普通に出来るということは決して当たり前ではなく、奇跡なんだと思いました。そんな中で自分は毎日を普通に過ごしていてはいけないと気付かされました。毎日学校に行けること、食事が出来、睡眠がとれること、まわりに人がいてくれること、全てに感謝をしながら毎日を過ごしていきたいと思います。普通は当たり前ではなく幸せなことなのだとしっかり胸に刻んでいきたいです。この本の題名は、「あした死ぬかもよ?」です。もし今、あなたは明日死にますと言われた場合、自分は何を思って何をするだろうかと考えた時、やはり一番に思うことは、まだ死にたくない、でした。こう思うことは正直当たり前かなと思ったけれど、人はいつ死ぬか分かりません。いつ何が起きてもおかしくありません。そこで私はこの本の中にあった、これが最後の○○だったら。と考えることにしました。もしこれが最後の食事だったらと思うと、いつもよりもっと味を確かめ、よく噛んで食べるだろうし、もし親と会うのが最後だったらと思うと、日頃の感謝をしっかり伝え、残りの時間を楽しむと思います。そう考えて過ごすことで、毎日を普通に、当たり前に過ごすことはなくなるのではないかと思います。私がまだ小学生だった頃、身近な人が亡くなり、「死」というものを初めて意識し、深く考えさせられました。その時はただ死ぬということが怖くて、一週間眠れない日が続きました。けれども高校生になった今では少なからず考えは変わってきています。「死」が怖いことは変わらないが、誰でもいつかはやってくることですし、生きているから死があるわけであり、死ぬということはどうしても避けられません。しかし同じように、それまでは生き続けることも避けられないということを知りました。いつかその時が来るまでにどのくらい一生懸命生きるかで最後は変わってくると思います。人間にしかない本能に、「喜ばれるとうれしい」というものがあるそうです。人から感謝されることはとてもうれしいことです。私の考えですが、何かをする時に見返りを求めて行動するのは良くないことだと思います。私は常に、「ありがとう」の言葉こそ最高の見返りだと思っています。ですから、自分もありがとうの感謝の言葉はしっかり伝えていきたいと思います。この本の冒頭に、「人生最後の日、なにに泣きたいほど後悔するだろう?」というものがあります。私が絶対に死ぬ時に後悔したくないことは、何事にも最後まで感謝を伝えきれないことです。特に、自分の親にはしっかり伝えたいです。しかしそれは今からでも出来ることです。大きな事は言えなくても、小さな事からなら始めることが出来ます。そんなことはいつでも出来ると思ってしまいがちですが、いつでも出来るなんてことはないのだそうです。私はこの先感じたありがとうを今、素直に伝えていけたら良いと思います。私は幼い頃からよく「死」について考えてきましたが、この本に出会い「死」について少し理解出来たように思うので、胸の内にうずまいていた疑問や恐怖も少しずつ解きほぐされ、ずいぶん楽になったような気がします。死んでからのことを考えるのではなく、死ぬまでにしなければならないこと、それは精一杯生きることです。誰にも負けないくらい、真っ直ぐに生きていきたいと思います。そのようなことを感じさせてくれた本でした。

引用元:[図書館通信]
本の詳細:[君の膵臓をたべたい]

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