作者:青木 和雄
出版:金の星社
「どんな本だろう。」題名を一目みた時、思いました。私の中では、明るく、おもしろい本だと、思っていました。読み進めていくうちに、悲しい本だということが、分かりました。主人公のあすかは六年生の女の子。学校では、いじめられ、家では、誕生日の日すら、家族に祝ってもらえないという日々を送っていました。そんなある日、大きなショックで声が出なくなってしまった・・・。あすかは、自分の手で人生を変える事ができるのでしょうか。
あすかは、明るく優しい女の子。声をなくしたあすかは、福島のおじいちゃん家に行きました。おじいちゃんが、こう言うのです。
「おこる時は、思いっきりおこれ。悲しい時は、思いっきり泣け。がまんなんかするな。」
あすかは、この言葉の力で、今までの自分のからを破り、一歩前へ進むことができました。
思いっきりおこり、思いっきり泣く事。それは、自分の気持ちを相手に伝える事。私は、できているのかなあと思いました。自分の気もちを伝える前に、相手がどう思うのか、ついつい考えてしまう自分がいます。でも、それは、すばらしい事なんだって気付きました。あすかの周りに心優しい友達がいます。それは、あすかの優しさがそうさせたのですから。
あすかは、色々なつらい経験をしていきます。学校でのいじめや母親の冷たい態度、養護学校の友達の死、幼少の頃の母親の真実・・・。これでもかこれでもかっていう風に続くのです。でも、その度に乗りこえていきます。きず付く事で、きず付ける事のおろかさやこわさを知り、何度も泣く事で、本当の自分のすがたを知り、人間的に大きくなっていくあすか。 優しさは強さ、強さは優しさだと改めて思いました。
この本を読んで、もう一つ大きな事に気付かされました。それは、「友達」です。一緒に笑ったり、一緒に泣いたり、私には大切な存在です。相手が落ちこんでいる時や悲しんでいる時、なぐさめる事は簡単なような気がします。相手が成功した時や本当に喜んでいる時に、心から自分の事のように喜べる事が「本当の友達」だと知りました。
自分がここにいるという事、私が存在する事、それは相手がいるという事、相手あっての自分、この事を心の中にしっかりきざみたいと思います。
この先、私の前に色々な壁が立ちはだかってくると思います。つらい思いやいやな思い、いっぱいするだろうと思います。本当の優しさ、そして、強さを身に付けるために、決してにげない自分でいたいです。いや、います。
あすかがこういっています。
「かわるために、学ぶんでしょ。」
今までがんばってきた自分をほこりにしながら、変わる大切さと変わらない大切さをわすれずに自分をみがいていきます。
あすかの顔はだれよりもかっこよく、そして、優しかった。
引用元:[くれよん]
本の詳細:[ハッピーバースデー 命かがやく瞬間]