作者:いとうみく 作 / こがしわかおり 絵
出版:文研出版
もし真中さんがクラスに転校生で来たら「それはおかしい」とせめられてしまうのかな?きっと嫌な気分になる反面、クラスの嫌な人をやっつけてもらいたいという半々の気持なりました。どちらにしてもかかわらないほうが無難という拓の気持がよくわかりました。
真中さんはヒーローこと日色拓のとなりの家に引っ越してきたかわいい子です。でも思ったことは何でも口に出していろんな人とトラブルになってしまうので拓は疲れてしまいます。
たしかに思い出すと真中さんみたいにどうでも良いことやそんなに悪くないことでも先生に言ったり責めたりするような子はいたと思います。良くないことをしているから責められたりするのですが、悪いことをして結局あとから後悔するのはその人自身なのでわざわざつげグチみたいなことしなくてもいいような気がします。そういう風な人がもし自分の考えを押し付けたくてやっていても正しいことだとしたら何もいえなくなります。
この本できっと言いたいことは、悪いことを指摘する気付いて直してもらうには力づくでもダメだし、見て見ぬフリも両方ダメだということなのだと思いました。悪いことの基準や正しいことの基準は小学生なら「友達と仲良くしましょう」「下級生には親切にしましょう」ということで「これをしてはダメです」というきちんとした決まりはありません。だから自分でまわりの人に自分が何をしたら迷惑になるのか?考えながら行動する時期なのかもしれないと気が付きました。
たしかにこの本のキャラクターに出てくる、本馬君や嵐君、仙道さんみたいな個性の強い人はいます。逆に拓みたいになるべく失敗しないようにしゃしゃり出ない人がいるのは「そういう考えの人もいるのか」と発見した思いでした。個性の強い人とはたしかに付き合い方がむずかしいし、嫌なこと言われたりやられたりしたらこわいです。
でもどんな人でも守らなきゃいけないことは人が嫌がることをしてはいけないということなのでしょう。ただ人が嫌がることや悪いことの基準すらたぶんみんなに共通するはっきりした条件がないのは大人になっても同じ世の中なのかもしれません。
真中さんが言っていることはたしかに正しいのですが、とてもキツく感じますしいつもケンカ腰で悪いことを正して反省させようという上から目線の人に見え、逆に感じが悪い人に思えます。誰かが指摘しないと悪いことをした人は悪いことをし続けるのかもしれませんが、いつも戦う姿勢でいるので真中さんには友達はできないし正しいのに孤独です。そうなるのはきつい言い回しだけが理由ではなく真中さんの正しさや悪いことの基準が真中さんだけが思う条件だからだと思います。
真中さん的にもお母さんとの約束で「正しい目で見て」という正しさがナニなのか?わかっていなかったんじゃないかなぁと思います。
拓は小学生なのにめんどうなことに首を突っ込まなかったり、見て見ぬフリをする人ですが「草食動物並みの危機察知能力」は静かに相手の気持を察知することもできる能力もあるのだなと思いました。拓は積極的に誰かを正そうと思う人じゃないけど、すごく人をよく観察しているので人の特徴をよく捉えることができる人です。よく見てよく考えるから真中さんの事情や行動の理由に「そうじゃなかったんじゃない?」とおだやかに指摘することができたのだと思います。
これは真中さんとは真逆の行動で、相手の考えをとりあえず受け入れて信用してもらって、相手の手助けをしたりして攻撃しない人だとわかってもらっているから拓の言っていることが通じたのだと思います。拓のこのやり方は真中さんのストレートなやり方よりもすごく時間がかかるし大変です。でも難しい人でもそのように接したらジワジワと言いたいことをわかってもらえる方法なのだなと思いました。むずかしいと思います。
世の中はいろんな考え方の人がいます。自分の考え方や行動が正しいかどうかの判断って世の中の人と比べてみないとわからないものです。自分だけの価値観だけで生きていくとその考え方は強くなるのかもしれませんが、まちがっていたり広い目でものをとらえないときっと生きづらくなるのだと思いました。片目をつぶってものを見るというのは見て見ぬフリをするということではなく、そういう考え方もあるのだなと一たん脇に置くことなのかもしれないと思いました。何か変えたかったらそこから作戦を始めるのが成功する方法なのだと思いました。
引用元:[話題ネタ!会話をつなぐ話のネタ]
本の詳細:[文研出版]